2007/09/18 (Tue) 降る雨に映える蒼

雨が降るのは、私の悲しみを汲み取っているため。
…そう思うようになったのは、彼と出会ってから幾年も経てからの事だ。

その代わり、容赦なく私から熱を奪ってゆく。
冷えたココロに響くリズムは、懐かしささえ感じさせる。

…彼は嫌われ者だ…それと同時に愛されてもいる。
人は彼の慈悲なしでは生きていけない。
けれど皆、その事を忘れてしまう。

もし私に力があれば、空ごと降らせてこの世の悲しみ全てを洗い流してあげるのに。

『たとえ忌み嫌われても、求めてくれる者がいる限り。何度も姿を変え、私はこの地に在ろう。』
そう呟くように、今も寂しげにその身を打ち付けているのだ。

人を遠ざけ生命を育む、遥か高みの存在に…いつしか惹きつけられて止む事を覚えず。

彼の意志を肌身に感じる事が出来れば、ひとつに溶け合えるような気がして…私は傘を振り捨てた。

見上げれば、遮るものなど何もない。
その翳った目差しも、針のような指先も。
…相応しい温度で私を包んでゆく。

そして少女は瞼を閉じた…雲よりの、迎えが来ることを信じて。